スポーツブランドの歴史①
世の中にはたくさんのスポーツブランドが溢れています。ナイキやアディダスは、たとえスポーツをしない人でも知っているブランドかと思います。では、世界で初めてのスポーツブランドはナイキでしょうか?あるいはアディダスでしょうか?本日はスポーツブランドの歴史についてご紹介していきたいと思います。
まず、世界で最も古いスポーツブランドですが、ChatGPTに聞いてみると、3つ程出してもらいました。
- Spalding(スポルディング):1876年にアメリカで創業
- Le Coq Sportif(ルコックスポルティフ):1882年にフランスで創業
- J.W. Foster & Sons(JWフォスターアンドソンズ):1895年にイギリスで創業
スポルディングが今から約150年前であることを考えると、結構最近と感じられた方は多いのではないでしょうか。ですが、スポーツ自体はもっと昔からあったはずです。
例えば、テニスを調べてみましょう。テニスの起源は紀元前のエジプトまで遡り、複数の人間が1つの球を打ち合うような姿が壁画として残っているようです。16世紀以降には、フランス貴族の遊戯として「「jeu de paume(ジュ・ド・ポーム)」と呼ばれるようになり、その時の掛け声「Tenez(トゥネス)」がテニスの名前の元になったと言われています。その後、18世紀以降にヨーロッパ貴族で流行し、1877年にはテニスの4大国際大会であるウィンブルドン選手権の第1回が開催されました。

次に、サッカーはどうでしょうか。実はサッカーの起源は不明で、古代中国の蹴鞠(けまり)説、中世ヨーロッパ時代のお祭説など複数の説があります。それから数百年、千年以上の時を経て、地域地域でバラバラだったルールがようやく定まってきたのが、19世紀に入ってからです。そして、サッカーのルールを定めたThe FA(フットボールアソシエーション)の発足が1863年ですので、テニスもサッカーもルールが定まった時期は同じ時期のようです。
スポーツの祭典第1回のオリンピックアテネ大会が開催されたのが1896年ですので、現代スポーツのルールの原型は19世紀頃から生まれて行ったようです。そのきっかけは何だったのでしょうか?
1つ言えるのは、18世紀末のフランス革命からヨーロッパ各国の民主化運動です。貴族や上流階級の人々の遊戯であったり、地域地域で伝わって来たゲームのようなものが、19世紀に競技として整備され、民主化によって民衆に広がっていったものと思われます。つまり、競技としてのスポーツの歴史は、ヨーロッパの民主化と共に始まったとも言えるかもしれません。
前述の3つスポーツブランドは、生まれたばかりのスポーツに大きく関わっています。
Spalding(スポルディング)

スポルティング社は1876年にアメリカで創業したスポーツブランドです。創業者は1850年イリノイ州生まれのアルバート・グッドウィル・スポルディング(Albert Goodwill Spalding)。アルバート・スポルディングはなんと元プロ野球選手。選手時代にスポルティング社を設立し、事業に集中するために28歳という若さで選手を引退しました。
スポルティング社は創業者が元プロ野球選手ということで、設立当初は野球に関する製品開発を行っていましたが、その後アメリカンフットボール、バスケットボールなど様々なスポーツのボールの開発を中心に事業を拡大しています。
- 1877年:世界初野球用グローブを開発
- 1878年:世界初ベースボールを開発
- 1887年:世界初アメリカンフットボールを開発
- 1894年:世界初バスケットボールを開発
- 1895年:世界初バレーボールを開発
- 1930年:世界初ゴルフボールを開発
- 1972年:世界初合成皮革素材バスケットボールの開発
Le Coq Sportif(ルコックスポルティフ)

ルコックスポルティフ社は1882年に創業したフランス最古のスポーツブランドです。創業者はEmile Camuset(エミール・カミュゼ)。彼の祖父であるヒューバート・カミュゼは、フランスにおけるメリヤス産業の先駆者の一人でした。「メリヤス」とは編み物一般のことを指し、最近ではニットとも呼ばれています。このメリヤスがスポーツブランドに大きく関わってきます。
前述で紹介しましたように、19世紀に様々なスポーツの原型が生まれていったわけですが、当時のスポーツウェアはYシャツの素材に似たストレッチ性のない生地で、ゆったりとしたカットであるにも関わらず、思う通りに自由に体を動かすことはできませんでした。そこで、ルコックスポルティフ社がメリヤスを活用したストレッチ性のある快適なスポーツウェアを開発したことで、1920年以降サッカーやサイクリング、テニス向けのウェアとして活躍の場を広げていきます。特に世界3大自転車レースの1つ、ツール・ド・フランス(Le Tour de France)においては、1950年代から約40年にわたりリーダージャージのサプライヤーを務めたことで有名です。
日本には1981年に進出し、1990年12月にデサント社が日本を含む極東及び東南アジア諸国におけるルコックスポルティフの商標権を取得しています。
J.W. Foster & Sons(JWフォスターアンドソンズ)

JWフォスターアンドソンズ社は1895年にイギリスにて創業したスポーツブランドです。創業者はJoseph William Foster(ジョセフ・ウィリアム・フォスター)。1881年、靴職人の家系に生まれたジョセフ・フォスターは、靴職人としての訓練を受け、弱冠14歳にして、父親の営むお菓子屋さんの上の部屋で靴作りを始めます。そして1898年、自身が陸上選手ということもあったことから、速く走るためのスパイク付きシューズ「Running Pump(ランニングパンプ)」を考えました。これが世界初のランニングシューズです。
1900年にはJWフォスター社を設立し、1910年には息子たちと協力し、社名をJWフォスターアンドソンズに変更しました。その後、1924年にパリで開催されたオリンピックで、陸上男子100mで金メダルを獲得したHarold Abrahams(ハロルド・エイブラハムズ)が、JWフォスターアンドソンズのランニングシューズを履いたことでシューズブランドとしての地位を固めていきます。
JWフォスターアンドソンズ社は、1976年、ジョセフ・フォスターの息子たちが作った会社「Reebok(リーボック)」に吸収され、今日までその意志が引き継がれています。

19世紀に様々なスポーツが生まれ、そのスポーツのためのスポーツ用品ブランドが生まれ、まさに激動の時代であったわけですが、日本のスポーツはどのように発展したのでしょうか?次回は日本のスポーツブランドの歴史について調べて行きたいと思います。
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